英語多読の効果とやり方|レベル別の本と100万語への道

英語教育・学習

英語多読(Extensive Reading)とは、辞書を引かずに、自分のレベルに合ったやさしい英語をたくさん読む学習法です。読むスピード・語彙の定着・読解力を伸ばす効果が、数千人規模のデータをまとめた複数のメタ分析で確認されています。しかも、その効果は日本のような環境で学ぶ大人にこそ大きく出ることが分かっています。

この記事では、研究で分かっている効果、「効果なし」と言われる3つの理由、正しいやり方、レベル別の本の選び方、そして100万語までの現実的な道のりをまとめます。

英語多読とは?精読との違い

多読とは、一文ずつ分析するのではなく、全体の流れを英語のまま追いかけながら、大量に読み進める読み方です。多読研究のDayとBamfordは、その柱として「やさしい素材を選ぶ」「大量に読む」「自分で読みたいものを選ぶ」「読むこと自体を目的にする」といった原則を挙げています(参考:Day & Bamford 1998, 2002)。試験のために読むのではなく、読書として読む。ここが出発点です。

対する「精読」は、文の構造や意味を細かく分析して深く理解する読み方です。日本の学校教育は伝統的に、日本語訳を中心とした精読に時間の大半を割いてきました。両者を並べると、役割の違いがはっきりします。

多読精読
目的大量のインプット・読む力の底上げ文構造や意味の深い理解
読む量多い(月に数万語)少ない
素材のレベルやさしい(ほぼ全部わかる)難しめ(背伸びする)
辞書引かない引く
日本語訳しないすることが多い
読む速さ速い(止まらない)遅い(立ち止まる)

どちらが優れているという話ではありません。精読は分析力を、多読は処理量とスピードを鍛えます。ただ、日本の英語学習は放っておくと精読に偏るので、初級から中級の段階では、多読の側に時間を寄せることをおすすめします。

英語多読の効果 — 研究でわかっていること

多読の効果は、個別の研究だけでなく、多数の研究を統合したメタ分析でも確認されています。34研究・約4,000人分のデータを統合したNakanishi(2015)では、多読を行ったグループの伸びは行わなかったグループより明確に大きく、多読を語学カリキュラムに組み込むべきだと結論づけられました。

さらに49研究・約5,900人を統合したJeonとDay(2016)は、重要な2つの傾向を報告しています。多読の効果は子どもより大人のほうが大きく、英語圏に住む学習者より日本のような非英語圏(EFL環境)の学習者のほうが大きかったのです。「多読は子ども向け」というイメージとは、むしろ逆の結果です。

①読むスピードが上がり、頭に余裕が生まれる

多読でまず変わるのは、読む速さです。日本の大学生を対象にしたBeglarらの研究では、1年間の多読で読速が大きく伸び、しかも理解度は落ちませんでした。興味深いことに、難しい原書よりもやさしい学習者向けの本を読んだグループのほうが、速度の伸びが大きかったのです(参考:Beglar, Hunt & Kite 2012)。

ただ、速さそのものが目的ではありません。大事なのは、その先で起きることです。

読むという作業は、文字を単語として認識する処理と、その単語から意味を組み立てる処理の二段構えでできています。単語の認識に神経を使っているうちは、頭の容量がそちらで埋まり、内容を味わう余力が残りません。ところが単語認識が自動化されると、空いた分の注意をまるごと意味の理解に回せるようになります(参考:LaBerge & Samuels 1974)。これが読書の流暢性です。多読で速く読めるようになることの本当の値打ちは、時間の節約ではなく、同じ1ページから受け取れる中身が増えることにあります。

「多読の前後で、単語の認識に取られる容量が減り、意味の理解に使える容量が増えることを示した図」

②語彙が「使える」形で定着する

さまざまな文脈で同じ単語に何度も出会うことで、一度学んだ単語が長期記憶に定着し、正しい場面で使えるようになります。単語カードが初対面を作る道具だとすれば、多読は再会を積み上げる装置です(詳しくは英単語の覚え方の記事にまとめました)。多読の主目的は新出単語の学習ではなく、既習内容の定着と運用である点に注意してください(参考:Nation 2015)。

③レベルが合っているから続く

やさしい素材を読むので挫折しにくく、学習が習慣になります。英語学習でいちばん難しいのは、正しい方法を知ることではなく、続けることです。

④書く力・話す力にも波及する

2025年に発表された最新のメタ分析では、読解や語彙だけでなく、ライティング・スピーキング・学習意欲まで、幅広い領域でプラスの効果が確認されています(参考:Sangers et al. 2025)。

⑤読書へのポジティブな印象が育つ

読むのがつらい、だから読まない、読まないから慣れない、慣れないからますますつらい。この悪循環は、英語学習で最もよく見る失敗の形です(参考:Nuttall 1996, Cunningham & Stanovich 1998)。やさしい本を楽しく読む経験は、この輪を断ち切ります。

日本での実例:豊田高専の多読プログラム

国内で最もよく知られた実例が、豊田工業高等専門学校の多読授業です。授業内に読書時間を確保する多読プログラムを長年続けており、2016〜2020年度の専攻科2年生(多読授業7年目、外国人留学生と英語圏への留学経験者を除く)のTOEIC平均は600点。2019年度の大学4年・英語専攻の全国平均583点を上回っています。2021年1月までに296名の学生が100万語を読破し、約300万語以上読んだ学生は、英語圏へ留学した経験者の平均606点さえ超える成果を出しました(出典:豊田高専 電気・電子システム工学科)。

同校で多読指導を牽引した西澤一名誉教授の蓄積では、およそ100万語の読書がTOEIC約50点の上昇に相当するという経験則が知られています。即効性のあるテクニックではありませんが、読んだ量に比例して基礎体力が積み上がることを示す、貴重な長期データです。

なぜ「量」がここまで効くのか

英検準1級レベルに到達するには約1,850時間の学習が必要という推計があります(米国務省FSIも、英語話者が日本語のような言語を習得する目安として約2,200時間を挙げています)。一方、現在の学習指導要領のもとで小学校から高校までに受ける英語授業は、合計してもおよそ1,000時間程度です。単純計算で、授業以外に1,000時間近くが必要になります。

日本で生活している限り、この不足分が日常生活で自然に埋まることはありません。多読は、楽しみながらその「量」を稼げる、最も現実的な手段です(参考:Elley 1991, Renandya & Jacobs 2002, Beglar et al. 2012, Nation 2015)。

「英語多読は効果なし」と言われる3つの理由

ここまで効果の話を続けてきましたが、「多読をやってみたけれど変わらなかった」という声があるのも事実です。そして、その原因はたいてい特定できます。多読で結果が出ないとき、ほぼ次の3つのどれかが起きています。

理由1:本のレベルが高すぎる

研究では、文中の単語の98%を理解できる素材が多読に適しているとされています(参考:Hu & Nation 2000)。理解度が90%を下回る素材は「Frustration Level(挫折レベル)」と呼ばれ、辞書を引く時間ばかりが増えて内容が頭に入りません。多読にも精読にも向かないゾーンです。

「洋書に挑戦したけど続かなかった」という経験の大半は、努力不足ではなく、この設定ミスです。対策はひとつ、拍子抜けするほどやさしい本まで下げること。プライドが邪魔をしますが、絵本から始めた人のほうが結果的に速く進みます。

理由2:量が足りていない

日本の大学生を対象にしたBeglarとHunt(2014)の研究では、読速が最も伸びたグループは年間平均およそ20万語(正確には208,607標準語)を読んでいました。この結果から、目に見える変化には年20万語程度が最低ラインだと提案されています。

洋書を3冊読んで「効果がない」と判断するのは、ジムに3回通って筋肉がつかないと言うのに似ています。20万語は、1日15分を半年続ければ届く量です。判断はそこからで十分です。

理由3:多読だけで完結させている

これは多読をすすめる側こそ正直に認めるべき点です。コーパス(言語データベース)を使った分析では、自然な英文の中では同じ単語が十分な回数繰り返されないため、多読だけで大きな語彙を作ることは現実的でないと指摘されています(参考:Cobb 2007, 2016;Schmitt, Cobb, Horst & Schmitt 2017)。語彙研究の第一人者であるNationも、読書からの偶発的な単語学習を「ゆっくりで、壊れやすく、偶発的」と表現しました。

つまり多読は、単語カードのような意図的な単語学習と組み合わせてこそ本領を発揮します。カードが初対面を作り、多読が再会を重ねて、知り合いを親しい仲に変えていく。この分業の具体的なやり方は英単語の覚え方の記事に詳しく書きました。

逆に、両方やった場合はどうなるか。台湾の高校生を対象にした5週間の研究では、同じ時間で「本を読む+単語練習」をした group と「関連する本をさらに多く読む」だけの group を比べ、前者のほうが単語の定着も保持も明確に上回りました(Min 2008)。読む量を増やすより、読んだうえで単語に的を絞るほうが効率がよかったわけです。

どのくらいの比率で? Nationは、語学の学習時間を「意味重視のインプット」「意味重視のアウトプット」「言語形式の学習」「流暢さの訓練」の4つに分け、それぞれ4分の1ずつを目安にすることを提案しています(Nation 2007)。単語や文法を直接勉強する時間は、全体の4分の1まで。残りは読む・聞く・話す・書くに使う。Nation自身がこの配分は厳密なものではないと断っていますが、多読が主食で単語学習が副菜、という感覚をつかむには使える目安です

多読のやり方 — 多読三原則

日本の多読で広く使われているのが、SSS英語多読研究会による「多読三原則」です。覚えることは3つだけです。

原則1:辞書は引かない

知らない単語は文脈から推測して、そのまま進みます。流れを止めないことが最優先です。どうしても気になる単語があれば、素早くメモだけ取って、読み終わってから調べましょう。私自身も、意味がどうしても気になったときはメモを取るようにしていました。

原則2:わからないところは飛ばす

意味の取りにくい文があっても、頭から順に読み進めます。精読の癖で同じ文を何度も読み返す「返り読み」を始めると、時間ばかりかかってストーリーが進まず、面白さよりストレスが勝ちます。読み続けているうちに、英語の語順のまま意味を受け取れるようになります。

ただし、飛ばす箇所が多すぎるなら、それは本のレベルが合っていないサインです。原則1と2は、やさしい本を選んでいて初めて機能します。

原則3:合わない本はやめる

一度手に取った本を最後まで読む義務はありません。つまらない、難しすぎると感じたら、迷わず次へ移りましょう。多読の目的は、楽しみながら大量の英語に触れることです。英語の本に限らず、雑誌、漫画、オンライン記事も立派な多読の素材です。

三原則にもうひとつ:語数を記録する

最新のメタ分析から、少し意外な知見が出ています。完全に自由な読書に任せるより、読んだ量を記録するといった軽い「見える化」があるほうが、多読の効果は大きくなる傾向が確認されたのです(参考:Sangers et al. 2025)。

多読の効果は日々の実感として現れにくいぶん、積み上がった語数が目に見えることが、そのまま継続の力になります。「レベルの合う範囲で自由に選び、語数だけは記録する」。これが、いまの研究から見ていちばん賢い運用です。記録はノートでもアプリでも構いません。

レベル別・本の選び方

多読に適した本の目安は、辞書なしで単語の98%がわかることです(参考:Hu & Nation 2000)。とはいえ読みながら割合を数えるわけにもいかないので、簡便法として「5本指ルール」が便利です。適当な1ページを開いて、知らない単語が5つ以上あったら、その本はまだ早い。それだけです。

日本ではSSS英語多読研究会が定めた「読みやすさレベル(YL)」が広く使われています。自分の現在地を探す目安にしてください。

YL1冊の語数代表的なシリーズ対象の目安
0.0〜0.9〜200語絵本・ORT Stage 1〜3未就学〜小学生・完全な初心者
1.0〜2.9200〜3,000語ORT Stage 4〜9・I Can Read!小中学生・大人の入門
3.0〜4.93,000〜15,000語Oxford Bookworms 1〜3・Magic Tree House中学生〜高校生・英検3〜準2級
5.0〜6.915,000〜40,000語Bookworms 4〜6・Penguin Readers 5〜6高校生〜大人・英検2〜準1級
7.0〜40,000語〜一般書(Harry Potter など)上級者

大人でもYL0〜1の絵本から始めて構いません。むしろ、やさしすぎるくらいの本を大量に読むことが、遠回りに見えていちばんの近道です。各レベルの具体的な本は、SSS英語多読研究会書評検索システムで、実際の多読学習者のレビューとYLつきで探せます。

どのくらい読めばいい?100万語への道

多読の世界では「100万語」が最初の大きな目標としてよく使われます。とはいえ、いきなり100万と言われても遠すぎるので、途中の景色を並べておきます。

累計語数この時期に起きること・根拠
1万語返り読みの癖が抜け始める。多読のリズムに体が慣れる時期
10万語やさしい英語なら、訳さずそのまま理解できる感覚が出てくる
20万語読速の伸びがはっきり測定されるライン(参考:Beglar & Hunt 2014)
50万語読める本の幅が広がり、ネイティブ向けの児童書が視野に入る
100万語多読の第一目標。TOEIC約50点の上昇に相当という経験則(西澤・豊田高専)
300万語豊田高専のデータでは、英語圏への留学経験者の平均を超える水準
「英語多読の語数マイルストーン。1万語から300万語までの道のりと、1日15分・30分でかかる時間の目安」

現実的な時間の計算

週5日、1分あたり100語のペースで1日15分読むと、週におよそ7,500語。6〜7ヶ月で約20万語に到達します。研究上、効果が測定されるラインがここです。

100万語までは、毎日15分なら約2年半から3年、毎日30分なら約1年から1年半が目安になります。長く感じるかもしれませんが、多読を続けると読速そのものが上がるため、後半ほどペースが加速します。最初は1分100語だった人が、翌年には150語以上で読めるようになることも珍しくありません。ちなみに英語ネイティブの大人は、1分に200〜300語を読みます。

詰め込んでも続かなければ、遠回りになるだけです。1日10〜20分、無理のないペースで積み重ねていけば、必ず届きます。英語を使う場が少ない日本の環境は、むしろ多読に向いています。話す機会がなくても、本は読めるからです。100万語に到達したあとも、読むのをやめる理由はありません。

おすすめの本・シリーズ

紙の本で始めるなら、学習者向けに語彙を制限して書かれた「Graded Readers(段階別読み物)」が王道です。

Oxford Reading Tree(ORT)は、イギリスの小学校で実際に使われている国民的教材です。Stage 1はほぼ絵だけ。キッパー一家の日常を描いたユーモアがあり、大人が読んでも普通に面白いのが強みです。完全な初心者と子どもの最初の1冊は、これで間違いありません。

Oxford Bookwormsは、名作文学や伝記、オリジナル小説を7段階のレベルで読めるシリーズです。Stage 1(400語レベル)から始めて、少しずつ上げていきます。多読の主食にあたる存在です。

Penguin Readersは、現代小説や映画の原作が充実しています。ストーリーの面白さで選びたい人に向いています。

ラダーシリーズは、日本のIBCパブリッシングが出している段階別読み物で、巻末に単語リストがついています。書店で手に取りやすく、日本の読者になじみのある題材が多いのが利点です。

Magic Tree Houseは、英語圏の子どもに大人気の冒険シリーズです。Graded Readersを卒業して、ネイティブ向けの児童書へ移る最初の橋渡しに最適です。

そして多読学習者の憧れがHarry Potterです。第1巻は約77,000語。100万語を読破する頃には、十分に射程圏内に入っています。

より網羅的に本を探したい人には、古川昭夫氏らによる『英語多読完全ブックガイド』という書籍もあります。数千冊の多読向け図書がYLつきで紹介されており、多読を長く続ける人の座右の書です。

「読みやすさレベル別の本の並び。YL0の絵本からYL7以上の一般書まで、段階的に厚くなる」

多読多聴 — 「聞き読み」で効果を広げる

音声を聞きながら、同じテキストを目で追う。これが「聞き読み」で、多読と多聴を同時に行う方法です。文字と音が結びつくため発音やリズムが自然に入り、リスニングへの波及も期待できます。返り読みの癖がある人には、音声が強制的に前へ進ませてくれるという副次的な効果もあります。

Oxford OwlのORT電子書籍には朗読音声がつき、Breaking News Englishは同じ記事を速度違いで聞けます。AudibleとKindleを組み合わせれば、洋書でも聞き読みが可能です。初級のうちは特に、音声つきの素材を優先してください。

聞く力そのものをもっと鍛えたい場合は、音声を追いかけて声に出すシャドーイングが次の一手になります。聞き読みが「音と文字をつなぐ」練習だとすれば、シャドーイングは「音の処理を自動化する」練習で、役割が異なります。

多読が続かないときは

続かない理由は、ほとんどの場合、本のレベルが高すぎるからです。つまらない、疲れる、頭に入らないと感じたら、まずレベルを2段階下げてみてください。やさしい本に戻ることは後退ではありません。研究上も、やさしい本を読んだグループのほうが読速の伸びは大きかったのです(参考:Beglar et al. 2012)。

そのうえで、続けるための工夫を3つ挙げておきます。

語数を記録する。積み上がった数字が見えると、やめにくくなります。研究でも記録のある多読のほうが効果が大きい傾向が出ています。

時間帯を固定する。通勤中、昼休み、寝る前。すでにある習慣にくっつけると定着します。「時間ができたら読む」では、時間はできません。

つまらない本は堂々と投げ出す。三原則の3つ目は、じつは挫折防止のための原則です。読み切る義務があると思った瞬間、多読は宿題に変わります。

1日サボっても構いません。ゼロにさえしなければ、多読は続きます。

「難しすぎる本で挫折し、やさしい本に戻して読み続けられるようになる4コマ漫画」

始める前の準備

多読を始める前に、英語の音と綴りの関係(フォニックス)を知っておくと、立ち上がりが大きく変わります。文字を音に変える作業が自動化されるほど、頭の余力を内容の理解に回せるからです。これは前述した流暢性の話と、そのまま同じ仕組みです。

フォニックスの目的や限界、日本語話者ならではのつまずき(ローマ字との混同など)については、フォニックスの本来の目的の記事で詳しく扱っています。子どもはもちろん、やり直しの大人にも有効です。

語彙と文法は、中学英語レベルがあれば十分に始められます。完璧である必要はありません。やさしい絵本から入れば、足りない部分は読みながら自然に埋まっていきます。初級のうちは音声つきの本を選ぶと、さらにスムーズです。

最後に、英語が難しく感じる理由と、その全体的な対策については英語が難しいと言われる6つの理由にまとめました。多読は、そこで挙げた「量の不足」に対する最も現実的な答えのひとつです。

今日、1冊目のやさしい本から始めましょう。

よくある質問

英語の多読とは何ですか?

辞書を引かずに、自分のレベルに合ったやさしい英語の本や記事を大量に読む学習法です。一文ずつ訳す精読とは異なり、英語のまま内容を理解しながら読む量を積み上げることで、読むスピード・語彙の定着・読解力を伸ばします。

多読は効果なしと聞きましたが本当ですか?

効果が出ないときの原因は、本のレベルが高すぎる、量が足りていない(年20万語未満)、多読だけで単語学習をしていない、のほぼ3つです。複数のメタ分析で効果は繰り返し確認されているので、この3つを外せば効果は出ます。

どのくらい読めば効果が出ますか?

研究上、読むスピードの伸びがはっきり測定されるのは年間約20万語からです。1日15分・週5日のペースなら6〜7ヶ月で到達できます。

100万語読むにはどのくらいかかりますか?

毎日15分なら約2年半から3年、毎日30分なら約1年から1年半が目安です。読み続けるうちに読速そのものが上がるため、後半ほどペースが加速します。

多読中に辞書は引かないほうがいいですか?

引かないのが原則です。知らない単語は文脈から推測して読み進め、どうしても気になる単語はメモして読了後に調べましょう。辞書が頻繁に必要になる場合は、本のレベルを下げるサインです。

多読はTOEIC対策になりますか?

即効性はありませんが、長期的には有効です。豊田高専のデータでは約100万語の読書がTOEIC約50点の上昇に相当し、多読を7年継続した学生のTOEIC平均600点は、大学の英語専攻の全国平均583点を上回りました。

子どもの英語多読は何歳から始められますか?

絵本の読み聞かせなら幼児期から始められます。自分で読む多読は、フォニックスで音と文字の関係を学んだあと、ORT Stage 1のような絵中心の本から始めるとスムーズです。年齢よりも、楽しいと感じられるかを優先してください。

多読と精読、どちらをやるべきですか?

どちらか一方を選ぶものではなく、役割が違います。精読は文構造を深く理解する力を、多読は処理量とスピードを鍛えます。ただし日本の英語学習は精読に偏りがちなので、初級から中級の段階では多読に多く時間を割くことをおすすめします。

参考文献

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豊田工業高等専門学校 電気・電子システム工学科「英語多読」https://www.ee.toyota-ct.ac.jp/er_english.html