この記事では、英語が難しいと言われる理由と、それを比較的に簡単にする方法について説明します。
英語は、世界中で最も広く話されている言語の一つですが、多くの人にとって英語は難しいと感じられることがあります。学ぶ価値のあるスキルには、それなりの困難があります。しかし、適切なツールや戦略によって、比較的に容易にすることができます。なぜ英語を第二言語としての習得が難しいかをお伝えする一方で(練習の必要性)、より早く習得(練習の質の向上)するためのヒントも紹介します。
目次
英語が難しい5つの理由
英語が難しい理由1:発音・綴り
英語では同じようなスペルの単語が異なる音で発音されることがよくあります。例えば、『through』、『though』と『tough』は似ていますが、発音が大きく異なります。
下の音声ボタンを押して聞いてみてください。
『through』
『though』
『tough』
これらの違いに耳を慣らすには、ある程度の時間が必要でしょう。
さらに、英語には通常(分類の仕方や地域によって多少異なることがありますが)44の音素がありますが、日本語には約22の音素しかありません(Kavanagh, 2007)。ですから、日本語に存在しない音素に慣れる必要があります。音素の違い以外に綴りの問題もあります。英語の約44の音素(個々の音の単位)に対して、これらの音素を表現するために約250種類のスペリング(綴り)が存在します。これは、英語の綴りが音声と一致しないことが多いことを反映しており、同じ音を表すために異なる綴りが使われる場合があるためです。
日本語には存在しない英語の音いくつかの紹介します。また、似た音を聞き分けなければいけないことも英語が難しい要因です。
/θ/ や /ð/ などは IPA(国際音声記号)のことです。
TH音とS音 /θ/と/s/ とその違い
/θ/ は日本語には対応する音がなく、「サ」行や「ス」行に一番近いです。
また、TH音とS音を混合しがちです。
『thick』(厚い)と『sick』(病気の)
『thank』(感謝する)と『sank』(沈んだ)
別のTH音(/ð/)
/ð/ も日本語にはなく、「ザ」行や「ズ」行に一番近いです。
『this』(これ)『that』(あれ)
/æ/(短母音)
日本語にはない音で、日本人には「ア」や「エ」と混同されがちです。
『cat』(猫) や bat(コウモリ)
/ə/(シュワ)
日本語には対応する音がありません。
『sofa』(ソファ)『about』(〜のこと)『support』(サポート)
W音 /w/
日本語の『ワ』とは異なる発音です。
『wet』(濡れる) 『win』(勝つ)
R音とL音 /r/と/l/ とその違い
英語の「R」と「L」の音は、日本語の「ら行」とは異なります。
また、「R」と「L」の違いを聞き取ることは簡単ではありません。
『right』(右)と『light』(光)
『rake』(熊手)と『lake』(湖)
B音とV音 /v/と/b/ とその違い
「V」の発音は日本語には存在しません。また、「B」も「バ行」と同じではありません。
「B」と「V」の音も混同されがちです。
『bat』(バット)と『vat』(大桶)
『berry』(ベリー)と『very』(非常に)
F音とH音 /f/と/h/ とその違い
「F」の音も日本語には存在しません。「H」は「は行」に似ていますが、微妙に違います。
『fan』(扇風機)と『hand』(手)
『fat』(太った)と『hat』(帽子)
I音とE音 /ɪ/と/e/とその違い
英語の「I」と「E」の音は、日本語の「イ」と「エ」に似ていますが、正確には異なります。
これらも混同されがちです。
『pin』(ピン)と『pen』(ペン)
『sit』(座る)と『set』(置く)
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関連ページ:音素、音韻意識やフォニックスについてもっと読む。
英語が難しい理由2:膨大なボキャブラリー
他の言語と比較して、動詞などの活用を含め、英語は広範な単語を持っています。また、一つの単語に対して複数に意味があったり、文脈によって使い方が異なったりします。上の「『難しい』を英語で」のセクションで紹介したように、『Challenging』、『Rigorous』や『Complicated』のように、様々な『難しい』の表現が存在します。他の英単語を加えると膨大な英単語が存在することがわかります。そのため、新しい単語に絶えず出会うことから、単語学習に終わりがないかのように感じるかもしれません。
しかし、この情報があなたを不安にさせることはありません。なぜなら、毎日使う「英語の単語」の大部分は実際には限定的な範囲内に存在するからです。また、これらの単語を理解し、適切に使用する能力を身につけることで、あなたの英語の流暢さやコミュニケーション能力は向上します。最後に、新しい英単語を学ぶ際には、丸覚えをするのではなく、その文化的背景や使用法を理解することが重要です。
英語が難しい理由3:複雑な文法(例外、語順の違い、冠詞と主語の必要性)
英語の文法は、習得を難しくするクセに満ちています。例えば、英語には、名詞にいくつかの形容詞が連続する場合に、どの形容詞を最初に使うかについて特別なルールがあります。このルールに従って、『a small red bird flew through the window』と指摘することはできても、『a red small bird』でも伝わりますが、無器用な表現になってしまいます。英語の本『The Elements of Eloquence』によると、形容詞の順番は、意見、大きさ、年齢、形、色、起源、材料、目的のようにするのが良いとされています。
数え方にも例外があります。例えば、ほとんどの名詞はs、es、iesをつけると複数形になります。しかし、ある種の名詞は、他のルールに従った特別な複数形を持っています。例えば、『Mouse』 は1匹のネズミですが、数匹のネズミは『Mice』と言います。一方、一軒の家は『House』と言い、複数の家は『Houses』と言います。また、一頭の牛は『Cow』、複数の牛は『Cows』と呼びます。しかし、子牛の呼び方は異なります。「Calf」は一頭の子牛を指しますが、『Calves』は複数の子牛を指します。
英語と日本語の文法構造にはいくつかの重要な違いがあります。まず、語順の違いが大きな課題です。英語は主語-動詞-目的語(SVO)の語順を使いますが、日本語は主語-目的語-動詞(SOV)の語順を使用します。また、英語には複雑な時制が多く存在し、動詞の形が変化しますが、日本語の時制変化は比較的に単純です。
語順の違いの例を見てみましょう。
まず、英語で「私の友達は昨日ケーキを食べた。」と言いたいとしましょう。
不正確な例(日本語の語順をそのまま英語に当てはめたもの): Yesterday, cake ate my friend.
この文は、英語の語順としては不正確です。「昨日、ケーキが私の友達を食べた。」となってしまいます。
正しい語順に直すと次のようになります。
正確な例: My friend ate cake yesterday.
さらに、英語には冠詞(a, an, the)があり、これが日本語には存在しないため、日本人にとって難しいポイントとなります。
冠詞のない英文の例を見てみましょう。
不正確な例: friend bought me pizza at supermarket.
この不正確な例、冠詞が欠けているため不自然で、いくつかの問題点があります:
『friend』: 英語では、名詞の前に冠詞や所有代名詞をつける必要があります。ここでは『my friend』や『a friend』が必要です。
『pizza』: 単数名詞の前には『a』や『the』などの冠詞が必要です。ここでは『a pizza』または『the pizz』」が適切です。
『supermarket』: ここでも『a』や『the』などの冠詞が必要です。ここでは『the supermarket』または『a supermarket』が適切です。
正確な例: My friend bought me a pizza at the supermarket.
「私の友達がスーパーマーケットでピザを買ってくれた。」
正確な例では、すべての名詞の前に適切な冠詞がついているので自然な英語になっています。
また、英語では主語が必須です。これは日本語と大きく異なる点です。日本語では主語が省略されることが多く、文が成立しますが、英語では必ず主語を明らかにする必要があります。
主語がない英語の例を見てみましょう。
例: Is hungry?
適切な英語では次のようになります: Is anyone hungry?
「誰かお腹空いてる?」
例: Forgot to bring the umbrella. Got soaked.
適切な英語では次のようになります: I forgot to bring the umbrella. I got soaked.
「傘を持ってくるのを忘れた。ずぶ濡れになった。」
たくさんの複雑なルールがありますが、完璧な文法を目指す必要はありません。たまに冠詞が抜けていたりしても、大抵は通じます。しかし、主語や語順は大切ですので、気をつけましょう。最初はコミュニケーション能力を重視し、基本的な文法と表現に集中することが大切です。完璧さにこだわると、話すことや書くことに対する自信を失いがちです。実際の会話や日常生活で使えるフレーズを覚え、徐々に文法の理解を深めていくことで、自然にスキルが向上します。学びながら間違いを恐れず、どんどん英語を使い、たくさん間違えましょう。しかし、間違えを放っておかずに、間違えから学びましょう。
英語が難しい理由4:イディオムの多さ
英語には多くの慣用句、つまり風変わりな言い方があり、それが理解を難しくしています。例えば、滅多に起こらない出来事を once in a blue moon と表現できます。『映画は滅多に見に行かない』は、『I only go to the movies once in a blue moon』となります。 イディオムなしで言うと、『I seldom go to the movies』または、『I rarely go to movies』となります。
また、AI 翻訳(2023年、現在)を使うと『I only go to the movies once in a blue moon』は『私はブルームーンに一度だけ映画に行きます』と直訳されるので、イディオムの翻訳には気を付けてください。『Barking up the wrong tree – 見当違いのこと追求すること』は『間違った木に吠えている』など、と直訳されてしまいます。
他にも、いくつか紹介します。
- Piece of cake – 簡単だと思われているもの。
- Cost an arm and a leg – 非常に高価なもの。
- Losing your head – パニックになったり不安になったりすること。
- Give someone the cold shoulder – 誰かを無視すること。
- Under the weather – 体調が悪いこと。
関連記事:時間に関する英語の表現-14選
英語が難しい理由5:地域の違い
英語は、他の言語と比べて表現の幅が広い言語として知られています。しかし、その反面、表現の違いによって英語を理解することが難しくなることもあります。
英語は、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダなど、さまざまな国で話されています。これらの国々はそれぞれ独自のアクセントや表現の違いを持っており、そのために英語を学ぶ際には、これらの地域の違いにも注意が必要です。例えば、エレベーターのことをアメリカ英語では「elevator」という言葉が使われますが、イギリス英語では『lift』という言葉が使われます。綴りもアメリカ英語かイギリス英語で多少違う場合があります。例えば、アメリカ英語の『color』 はイギリス英語では『colour』と表記されます。
同じ言葉を使っても、意味が違う場合もあります。例えば、『pants』という単語を考えてみましょう。この単語はアメリカ英語・オーストラリア英語では『ズボン』という意味ですが、イギリス英語では『下着』という意味になります。同じ単語を使っているにも関わらず、国や地域によって意味が異なるため、混乱してしまうことがあります。
このような言葉の違いは、各国や地域の歴史や文化の違いによるものです。英語はイギリスから広まっていきましたが、各国や地域で独自の言葉の使い方や意味が発展していった結果、同じ単語でも異なる意味を持つようになったのです。
また、英語のネイティブスピーカーは、スラングや口語表現を多く使います。これらは学校の教科書にはほとんど載っていないため、実際の英語の会話やメディアを通じて触れる機会が重要です。
英語が難しい理由6:起源の違い
英語が難しいと感じる理由の一つに言語の系統の違いがあります。世界の言語は、同じ起源を持つもの同士が似通っています。例えば、フランス語とスペイン語は、どちらもラテン語に由来しているため、似ています。英語はゲルマン語派に属し、ドイツ語やオランダ語と起源を共有しています。そのため、これらの言語を話す欧米人にとって、英語は比較的学びやすいのです。
しかし、日本語は全く異なる起源を持っています。日本語の文字体系である漢字やひらがなは、アルファベットとは根本的に異なります。日本人が英語を学ぶのが難しいと感じるのは、言語の系統的な違いによるものでもあります。日本語に最も近い言語としては琉球諸語があります。これらの言語は日本語と類似した文法構造や語彙を持っています。また、韓国語も文法的な類似点がありますが、語彙の面では大きく異なります。中国語から多くの漢字語を借用していますが、文法や発音において大きく異なります。言語学的には、日本語は「孤立した言語」とも呼ばれていて、他の言語との直接的な系統的関係が明確ではありません。
英語を学ぶための5つのヒント
先に説明したように、新しいスキルをより速く習得するには、方法、ツール、戦略を頼りにすることが重要です。
ここでは、英語を上達させるためにできる、5つのことを紹介します。
英語の発音を学ぶ (発音・リスニングを最優先)
英語の発音を理解し、区別する能力は英会話だけではなく、英語学習の全てに役立ちます。私たちの脳は、母国語によって設計されています。そのため、外国語に対応できるように、脳を再配線することが最も重要なことの一つです。さらに詳しく言えば、特定の音声パターンやアクセントを識別する能力は、英語の流暢さを向上させる上で不可欠です。
この視点から見れば、聴覚訓練は英語学習の基礎的な側面であり、それを強化することで全体的なコミュニケーションスキルが向上します。もちろん、ネイティブ・レベルな発音や耳を養う必要はありませんが、日々の生活の中で積極的に英語を聴くことを心掛けてみてください。
また、音声認識技術の進歩により、英語の発音やイントネーションを確認しやすくなってきました。これらのツールを活用し、自分の発音が正確かどうかを確かめることが可能です。
重要な語彙に集中する
英語には膨大な語彙があることはすでに述べました。早く語彙を増やしたい場合、出会う単語を全て覚えようとはしないでください。むしろ、最も有用な単語を知ることが大切です。
最頻出リスト(2000語)とは、最もよく使われる語彙をまとめたものです。こういったリストから学ぶことで、文章や会話の中で出てくる英単語の大部分を理解できるようになります。頻度リストに出てくる単語を実践で使える語彙と呼べます。
最頻出リストに基づく学習の利点はたくさんあります。まず、これらの単語は会話や文章で頻繁に使用されるため、短期間で実際のコミュニケーションに役立つ語彙力を身につけることができます。また、リストに含まれる単語を優先的に学ぶことで、学習の効率が大幅に向上します。大量の単語を無計画に覚えるよりも、使用頻度の高い単語を集中的に学ぶ方が効率的です。
加えて、リストに含まれる単語は基本的な語彙であることが多いため、これらを基礎にしてさらに高度な語彙へと進むステップとしても有効です。基礎をしっかり固めることで、より複雑な表現や専門的な語彙の習得もスムーズに進みます。また、英語を実際に使ってみたいという意欲を高める効果もあります。頻繁に使われる単語を知っていると、英会話や英語の文章に対する自信がつき、積極的に英語を使う機会を増やしたくなるでしょう。
しかし、英単語を文脈の中で学ぶことが大切ですので、文脈の中で英単語を学びましょう(関連記事:英単語 覚え方:文脈と英単語カード (アプローチ))。
英文法の感覚やパターンを優先する
英語を早く習得したい場合、文法書の熟読や文法のドリル(中心の学習・だけの学習)をおすすめしません。もちろん、文法書やドリルも役に立ちます。必要に応じて使い、細かなルールも学ぶことができます。しかし、ほとんどの文法の形は、ネイティブスピーカーがどのように話しているかに注意を払いながら、パターンに気づきましょう。また、読み書きの向上のための英文法は後でも身につけることができます。ですから、英文法の感覚やパターンを身につけることを優先しましょう。
英語メディアを頻繁に利用し、自然で直感的な方法で文法を吸収することをおすすめします。また、会話などで文法の間違いに気づいたら、そのままにするのではなく、その間違いをノートなどに書き込みましょう(スマホのノート機能も活躍します)。間違いを振り返ることで意識的に文法を修正することができます。
ネイティブスピーカーとたくさん練習する
英語を学ぶ最良の方法は、できるだけネイティブ・スピーカーと一緒に練習することです。ネイティブ・スピーカーは、ネイティブレベルの発音、即時のフィードバック、そして新しい語彙や表現の供給源を提供してくれます。どんどん間違いを繰り返して、間違いから学びましょう。また、オウムのように決まった会話パターンにしか対応できない様になることを避けなければいけません。そのためには、予測できない状況下での実践的な練習が必要です。
そもそも、多くの人は英語に触れる時間が少なすぎる、もしくは、学習の間隔を空けすぎています。精読や細かい文法の学習に意味がありますが、初級・中級者には向いていません。精読や細かい文法の学習はインプットの量を極端に制限します。要するに、時間あたりの英語に触れる量が少量になります。ですから、実際の英会話、多読、シャドーイングなどで英語に触れる時間を増やしましょう。
学習の間隔を空けすぎに関しては、例えば、毎日コツコツと英語を使わず、週一回程、長時間詰め込んで学習することです。この方法では、記憶の定着が難しく、習得するのに時間がかかります。毎日少しずつ英語に触れる方が、記憶が定着しやすく、効率的です。効果的な英会話スクールなどはレッスン外での学習を前提にしています。学習の間隔を縮めるには英語の使う時間帯を決めましょう。最低、30分、英語を読む、シャドーイングをする、YouTubeの英会話コンテンツを観るなど、日常生活に英語を取り入れることが大切です。また、通勤時間に英語のポッドキャストを聴く、寝る前に短い英語の記事を読むなど、日常生活に英語を取り入れることで、英語に触れる時間が増えます。
日本で生活する限り、英語に触れる機会は少ないと感じるかもしれません。しかし、実際にはインターネットを利用することで、豊富な英語学習リソースにアクセスできます。これらを活用すれば、英語に触れる機会を増やし、学習をより効果的に進めることができます。ですから、実際にはたくさんの機会があり、英語の環境自体が英語が難しい理由ではありません。
関連記事:英語の好奇心と自分の言葉で伝える重要性
関連記事:英語の間違いは失敗じゃない
読む力をつけて、たくさん読む
先ほど述べたように、英語をたくさん使うことは英語力の向上に欠かせません。練習の質も大切ですが、量も大切です。実際、頻繁に英語を使用することで、その表現や文法に自然と馴染むことができます。この点については、多くの学術研究が英語使用量と能力向上の間に強い相関関係があることを示しています。
量を増やす最も簡単な方法は読書です。しかし、これは精読ではなく多読のことです。また、英語で読むスキルは様々な場面で役に立つだけではなく、読書という楽しみにも繋がります。さらに、英単語を文脈の中で学ぶことが大切です(関連記事:英単語 覚え方:文脈と英単語カード (アプローチ))
私たちは年齢に関係なく、多読をおすすめしています。多読は子供から大人まで効果的な学習法であり、楽しく続けられる点が魅力です。また、自分のレベルに合わせて、ほとんどの内容を理解できるものを読んだり観たりすることが重要です。理解できる範囲のコンテンツに触れることで、自信を持って学習を続けることができます。
ヒントのまとめ
一つの学習方法に偏らず、この記事で紹介したこと以下のことを実践してみてください:
- 英語の発音・聴覚訓練をする
- 最頻出リストの単語を文脈の中で覚え、習得する
- ネイティブ・スピーカーと英会話をたくさんする
- 英語に触れる時間を増やす(多読など)
- 英語学習の間隔を縮める(毎日、30分は英語を使おう・聴こう・読もう)
- 英文法の感覚を身につけることを優先する
それらを英語の基盤作りとでも呼びましょう。基盤づくりを無視して、英語を学ぼうとすると遠回りな学習になってしまうケースが多々あります。長文の執筆、細かい文法の知識や低頻度な語彙の学習は、後で、英語のレベルが向上してから取り組むことをおすすめします。英語の基盤があってこそ、もっとレベルの高い英語を使えるようになります。
『難しい』を英語で?
その前に、レベル別に『難しい』に関連する英単語を紹介します。
初級
一般的に『難しい』は『Difficult』ですが、いろんな『難しさ』の表現があります。
これから紹介する英単語は『Difficult』の同義語ではないので気をつけてください。
『Difficult』
- Difficult: 一般的な困難さ・難しさを表す。
- 例: Learning English is difficult because there are so many new words to remember.
- 訳: 「覚えなければならない新しい単語が多すぎるため、英語学習は難しいです。」
『Hard』
- Difficultとの関係性: 「Hard」は難しさや困難さを指す。困難さの一形態。
- 例: It is hard to understand advanced mathematical concepts.
- 訳:「高度な数学的概念を理解するのは難しいです。」
『Tough』
- Difficultとの関係性: 『Tough』は強さと忍耐力が必要であることを強調している。困難さの一形態。
- 例: English grammar is tough because there are many rules to follow.
- 訳: 「英語の文法は、守らなければならないルールが多いため厳しいです。」
『Tight』
- Difficultとの関係性: 『Tight』は制約や柔軟性の欠如により難しい状況を指す。制約があるための困難さ。
- 例: We have a tight schedule, so finding time for additional meetings is difficult.
- 訳: 「スケジュールが厳しいので、追加の会議の時間を見つけるのが難しいです。」
中級
『Challenging』
- Difficultとの関係性: 『Challenging』は困難であるが、同時に成長と学びの機会を提供することを示している。刺激的な困難さ。
- 例: Learning English can be challenging, but it helps me grow and improve my skills.
- 訳: 「英語を学ぶことは難しいこともありますが、自分を成長させ、スキルを向上させるのに役立ちます。」
『Complicated』
- Difficultとの関係性:『Complicated』は理解または解決が難しい複雑さを指す。複雑さゆえの困難さ。
- 例: English pronunciation is complicated because words are not always pronounced as they are spelled.
- 訳: 「英語の発音は、単語が必ずしも綴り通りに発音されないため複雑です。」
『Laborious』
- Difficultとの関係性: 『Laborious』は多くの時間と努力を必要とし、しばしば反復作業を伴うことを強調している。
- 例: Writing essays in English is laborious because it takes a lot of time and effort.
- 訳: 「英語でエッセイを書くことは、時間と労力が多くかかるため骨の折れる作業です。」
上級
『Arduous』
- Difficultとの関係性: 『Arduous』は非常に高いレベルの努力と困難さを示唆している。過酷な困難さ。
- 例: Mastering advanced English vocabulary is an arduous task due to the extensive memorization required.
- 訳: 「高度な英語の語彙を習得することは、広範な暗記が必要なため骨の折れる作業です。」
『Grueling』
- Difficultとの関係性: 『Grueling』は非常に疲れさせる、そして要求の厳しい作業を指す。極度の疲労を伴う困難さ。
- 例: Preparing for the English proficiency exam was a grueling experience because it demanded long hours of study.
- 訳: 「英語の能力試験の準備は、長時間の勉強が必要だったため過酷な経験でした。」
『Rigorous』
- Difficultとの関係性: 『Rigorous』は徹底的かつ精密であり、厳格な基準を含むことを示している。厳密さゆえの困難さ。
- 例: The rigorous learning of English academic writing requires strict discipline and attention to detail.
- 訳: 「英語の学術的な文章を書くための厳格な過程は、厳しい規律と細部への注意を必要とします。
『Onerous』
- Difficultとの関係性: 『Onerous』は重荷となる性質と重い義務を伴うことを強調している。重責ゆえの困難さ。
- 例: I have the onerous responsibility of improving my English skills to support my family.
- 訳: 「家族を支えるために、私には英語のスキルを向上させるという重い責任があります。」
『Daunting』
- Difficultとの関係性: 『Daunting』は圧倒されるような状況を指す。圧倒さからの困難さ。
- 例: The daunting task of becoming fluent in English can sometimes feel overwhelming.
- 訳: 「英語を流暢に話せるようになるという恐ろしい課題に圧倒されることがあります。」
使用頻度の比較:
下の図は、Goole NGramで先ほど紹介した英単語の使用頻度を比べたものです。Google Ngram(グーグル・エングラム)とは、Googleが提供するツールで、本に使われている言葉の使用頻度を調べることができます。これを使うと、ある言葉やフレーズが何年ごろによく使われていたかをグラフで見ることができます。
上のグラフは、Google Ngramを使って1950年から2019年までの間に特定の単語が英語の書籍でどれくらい使われたかを示しています。
- 最も使用頻度が高い単語は『Hard』で、1980年代以降使用頻度が急増していることが分かります。2000年代にピークに達し、その後やや減少しています。次に頻度が高いのは『Difficult』で、1950年から使用頻度が増加し続け、2000年代初めにピークに達し、その後やや減少しています。
- 他の単語、『Tight』、『Complicated』、『Challenging』、『Tough』、『Rigorous』、『Laborious』、『Arduous』、『Grueling』、『Onerous』は、いずれも『Hard』や『Difficult』に比べると使用頻度が低いです。特に『Tight』と『Complicated』は、他の単語よりも比較的多く使われていますが、『Hard』や『Difficult』よりは少ないです。
比較的に使用頻度の高い『Hard』,『Difficult』、『Challenging』、『Tight』、と『Complicated』を優先して学びましょう。
難しい英単語の種類と例
英語の難しい語彙は、使用頻度、複雑さ、専門性、文脈など、さまざまな観点から分類できます。
以下では、日本語の読者向けに、各カテゴリーを詳しく説明します。
使用頻度の低い単語
これらの単語は日常会話や文章ではあまり使われず、なじみが薄いため覚えにくいです。
- Obfuscate (ごまかす): He obfuscated the issue with jargon.
(彼は専門用語で問題をさらにごまかしました。) - Sesquipedalian (長い言葉を使う人): His sesquipedalian tendencies made him sound like a walking dictionary.
(彼の長い言葉を使う癖は、彼をまるで歩く辞書のように見せました。) - Perspicacious (洞察力のある): Her perspicacious remarks often left everyone scratching their heads.
(彼女の洞察力のある発言は、しばしば皆を困惑させました。) - Antediluvian (大昔の): His antediluvian phone didn’t even have a camera.
(彼の大昔の携帯電話にはカメラさえありませんでした。)
専門用語
特定の分野や職業に特有の単語は、その分野に精通していない人には難解です。
- Hematology (血液学): She was so into hematology, she knew more about blood than a vampire.
(彼女は血液学に夢中で、吸血鬼よりも血について詳しかったです。) - Anastomosis (吻合): The surgeon’s successful anastomosis had everyone breathing easier.
(外科医の成功した吻合手術で、みんなが安心しました。) - Synecdoche (提喩): He used synecdoche so often, people started calling him “the mouth.”
(彼は提喩をあまりにも頻繁に使うので、人々は彼を「口」と呼び始めました。) - Jurisprudence (法学): In the world of jurisprudence, she was the Sherlock Holmes of legal theories.
(法学の世界では、彼女は法理論のシャーロック・ホームズでした。)
抽象的または概念的な単語
抽象的な概念やアイデアを説明する単語は、具体的な参照物がないため理解しづらいことがあります。
- Epistemology (認識論): Studying epistemology made him question if he even knew what he knew.
(認識論を学ぶことで、彼は自分が知っていることが本当に知っているのか疑問に思いました。) - Existentialism (実存主義): She had an existential crisis trying to spell “existentialism.”
(彼女は「実存主義」を綴るのに実存的危機に陥りました。) - Dichotomy (二分法): The dichotomy between his work life and personal life was like night and day.
(彼の仕事と私生活の二分法は、まるで昼と夜のようでした。) - Paradigm (パラダイム): The new paradigm shift meant he’d have to relearn everything.
(新しいパラダイムシフトは、彼がすべてを再学習しなければならないことを意味しました。)
多義語
複数の意味を持つ単語は、特に非ネイティブ・スピーカーにとって、文脈が重要です。一部の単語は非常に多くの用例を持ち、さらに難易度が高まります。例えば、『Run』には何百もの意味や用法があります!
Run (走る、運営する、流れる、続く など):
- 走る: He likes to run in the park.
(彼は公園で走るのが好きです。) - 運営する: She runs a successful business.
(彼女は成功したビジネスを運営しています。) - 流れる: The river runs through the city.
(川が街を流れています。) - 続く: The play will run for three months.
(その劇は3ヶ月間続きます。) - 逃げる: The thief ran away from the police.
(泥棒は警察から逃げました。) - 試運転する: We need to run a test on the new software.
(新しいソフトウェアを試運転する必要があります。)
Strike (打つ、ストライキする、印象を与える、発見する など):
- 打つ: He struck the ball with great force.
(彼はボールを強く打ちました。) - ストライキする: The workers decided to strike for better pay.
(労働者は賃上げを求めてストライキすることに決めました。) - 印象を与える: Her words struck me as very sincere.
(彼女の言葉は非常に誠実な印象を与えました。) - 発見する: They struck oil in the desert.
(彼らは砂漠で石油を発見しました。) - 時計が打つ: The clock struck twelve, and Cinderella ran.
(時計が12時を打つと、シンデレラは走り去りました。) - 襲う: Disaster struck the town unexpectedly.
(災害が予期せず町を襲いました。)
不規則な発音や綴りの単語
発音が綴りと一致しない単語が多く、混乱を招きます。
- Colonel (カーネル): He is a colonel in the army.
(彼は陸軍のカーネルです。) - Rendezvous (ランデブー): They had a secret rendezvous.
(彼らは秘密のランデブーをしました。) - Mischievous (いたずら好きな): The children were mischievous.
(子供たちはいたずら好きでした。)
外来語
他の言語から借用された単語は、異なる音や構造のため難しいことがあります。
- Hors d’oeuvre (オードブル): They served hors d’oeuvre as an appetizer.
(オードブルとしてオードブルを提供しました。) - Schadenfreude (他人の不幸を喜ぶ気持ち): He felt schadenfreude watching his rival fail.
(彼はライバルが失敗するのを見て他人の不幸を喜ぶ気持ちを感じました。) - Crescendo (クレッシェンド): The music reached a crescendo and the crowd went wild.
(音楽がクレッシェンドに達し、観客は大興奮しました。)
慣用表現
慣用表現は文字通りの意味ではなく、その意味を推測するのが難しいことがあります。
- Break the ice (緊張をほぐす): His joke helped break the ice at the meeting.
(彼の冗談が会議の緊張をほぐしました。) - Bite the bullet (覚悟を決める): He decided to bite the bullet and accept the situation.
(彼は状況を受け入れて覚悟を決めました。) - Kick the bucket (死ぬ): He kicked the bucket after finishing his bucket list.
(彼はバケットリストを終えた後に死にました。) - Raining cats and dogs (土砂降りの雨): It’s raining cats and dogs outside.
(外は土砂降りの雨が降っています。)
アカデミックな語彙
学術的な文章や議論で頻繁に使われる単語は、形式が堅苦しく、特有の意味を持つため難解です。
- Synthesize (統合する): He synthesized the data like a master chef blending flavors.
(彼はデータを、まるでフレーバーをブレンドする名シェフのように統合しました。) - Juxtapose (並置する): He juxtaposed the photos for a comical effect.
(彼はコメディ効果を狙って写真を並置しました。) - Substantiate (実証する): Evidence is needed to substantiate his wild theories.
(彼の突飛な理論を実証するために証拠が必要です。) - Extrapolate (外挿する): His research extrapolated the data to predict future trends.
(彼の研究はデータを外挿して将来のトレンドを予測しました。)
複数音節の単語
長い単語は発音しにくく、覚えにくいことがあります。
- Incomprehensibility (理解不能): His explanation was incomprehensibility.
(彼の説明は理解不能でした。) - Disestablishmentarianism (国教廃止主義): There was a debate about disestablishmentarianism in politics.
(政治について国教廃止主義の議論がありました。) - Antidisestablishmentarianism (反国教廃止主義): He supports antidisestablishmentarianism.
(彼は反国教廃止主義を支持しています。) - Uncharacteristically (普段とは違って): He was uncharacteristically kind.
(彼は普段とは違って親切でした。)
最後に、英語学習は大変ですが、英語の楽しみも忘れないでください😊