英語の前置詞の使い分け (in/on/at)
|英文法
英語で住所を書こうとして、番地の手前で手が止まる。at 12 Elm Street だったか、on だったか、それとも in だったか。何度も見たはずの単語なのに、いざ書く段になると急にわからなくなります。前置詞は短いのに、正解が3つあるように見えて、どれもそれらしく感じられてしまうかもしれません。
in・on・at の使い分けは、単語の意味を丸暗記することではありません。対象を「点」として見るか、「面」として見るか、「立体(内側の空間)」として見るかで、使う語がそのまま決まります。
まず腕試しをしたい人は、in・on・at クイズを先にどうぞ。どこで迷うかを先に見ておくと、このあとの話が入りやすくなります。
in・on・at クイズ
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in・on・atの基本ルール ― 点・面・立体で考える
in・on・at を分けている基準は1つだけです。指すものを、どんな形として見ているか。
at は「点」として指す言い方です。地図に刺したピンのように、広さは問題にしません。9時、あの角、というふうに、時刻も場所も1点として指せます。
on は「面」に乗っている、触れている言い方です。机の上の本、壁のポスター、月曜日の予定。どれも何かの面にくっついています。
in は境目の「内側」にある言い方です。箱の中、京都の中、4月の中。面積でも立体でも、囲いの中に入っていれば in です。
Purdue大学の英作文センター(Purdue OWL)は、この3つを幾何学の言葉を借りて「点」「面」「面積・立体」に分類しています。同じ家を使った4つの例文を見ると、違いがつかめます。車が家のそばにあるなら My car is at the house. で、ここでは家を1つの点として見ています。屋根が新しくなったなら There is a new roof on the house. で、家は屋根が乗る面です。家がどこにあるかなら The house is in Tippecanoe county. で、郡という広がりの中に家があります。部屋を数えるなら There are five rooms in the house. で、今度は家そのものが部屋に仕切れる立体です。家は同じまま、見方だけが変わっています。
| 前置詞 | 見方 | 例文 |
|---|---|---|
| at | 点 | Let’s meet at the station. 駅で待ち合わせよう。 |
| Someone is at the door. 誰かが玄関に来ている。 | ||
| She’s at home today. 彼女は今日は家にいる。 | ||
| Turn left at the traffic light. 信号を左に曲がって。 | ||
| on | 面(乗っている・触れている) | The keys are on the table. 鍵はテーブルの上。 |
| There’s a poster on the wall. 壁にポスターが貼ってある。 | ||
| Our house is on Third Street. うちは3番通り沿いにある。 | ||
| She lives on the third floor. 彼女は3階に住んでいる。 | ||
| in | 面積・立体(境目の内側) | The cat is sleeping in the box. 猫が箱の中で寝ている。 |
| I left my umbrella in the car. 傘を車の中に置いてきた。 | ||
| She lives in Kyoto. 彼女は京都に住んでいる。 | ||
| We went for a walk in the park. 公園を散歩した。 |
at の4例は、駅も玄関も家も、広さのない1点として指している。
この3つの形は、場所を指すときも時間を指すときも同じように働きます。一番わかりやすいのが住所で、地図をズームしていくと3語が順番に出てきます。

場所と住所を表すときのin・on・at
住所を書くときの in・on・at は、地図をどれだけズームするかで決まります。
一番外側にあるのが都市や国です。面積として広がっているので in を使います。in Boston、in Japan という形です。
その内側にあるのが通りです。名前だけを言うときは on を使います。Our house is on Third Street. がその形です。Purdue OWL の説明によれば、この on は「家が通りという面の上に乗っている」という意味ではありません。通りを1本の線と見て、その線沿いに家がある、と言っているだけです。だから on と言っただけでは、番地まではわかりません。働きとしては、むしろ at に近い on です。
番地まで言うと、線の上の1点になります。ここで at が出てきます。Our house is at 323 Third Street. のように、番地まで含めた住所は点として扱われます。
同じ street でも、in を使う場面があります。The children are playing in the street.(子どもたちが道路で遊んでいる)がそれです。この場合の street は、両側の歩道に挟まれた区画、つまり面積として捉えられています。out on the street だけは理屈とは別枠の慣用句で、「無一文になる」という意味です。
囲まれているかどうかで in と on が入れ替わる名詞は、ほかにもあります。選手が練習しているときは on the field(面としてのグラウンド)、牛が草を食んでいるときは in the field(柵に囲まれた区画)。窓も同じで、霜が模様を作るのは on the window、顔がのぞくのは in the window です。柵のない放牧地は on the open range、ロープで囲まれたリングの中は in the ring になります。field が「分野」の意味になると囲いは目に見えなくなりますが、それでも in the bioengineering field のように in が選ばれます。
角(corner)は、話者によって使い方が割れます。VOA Learning English の解説によれば、アメリカ英語では通り名を挙げずに「その角」とだけ言うときは on the corner が多く、2つの通り名を挙げて交差点を特定するときは at the corner of A and B が好まれる傾向があるということです。ただしこれは傾向で、どちらかが間違いというわけではありません。in the corner は別物で、壁と壁が作る部屋の内側の隅を指します。ピアノが部屋の隅にある、というときの corner です。
建物や施設は、原則として点として扱うので at です。at the station、at the bank、at home、at work のように使います。school だけは、at と in で意味が変わります。at school は校舎や敷地にいるという場所の話、in school は「在学中である」という身分の話です。アメリカ英語では My daughter is still in school. で「娘はまだ学生です」の意味になりますが、イギリス英語では同じ意味を at school で言うことが多くなります。
arrive も同じ理屈で分かれます。都市や国のように広がりのある場所に着くなら arrive in London、arrive in Japan。駅や空港、パーティーのように1点で指せる場所なら arrive at the station、arrive at the airport です。home だけは前置詞を付けず、arrive home と言います。
時間を表すときのin・on・at
時間の場合も、点・面・面積の感覚がそのまま働きます。
at は時刻の「点」に使います。at 7 o’clock、at noon、at midnight のように、時計の針が指す1点を表します。
on は曜日や日付に使います。on Monday、on April 10th、on Christmas Day のような形です。
in は月・季節・年・世紀という、広がりのある期間に使います。in April、in the summer、in 1998、in the 20th century がその形です。
迷いやすいのが1日の中の時間帯です。朝・昼・夕方は in the morning、in the afternoon、in the evening と in を使うのに、夜だけは at night になります。Purdue OWL も night を noon や midnight と同じ at のグループに入れています。理由を探すより、そういう形として覚えたほうが早い言葉です。
時間帯に曜日が付くと、前置詞は on に変わります。in the morning とは言いますが、月曜日の朝なら on Monday morning です。曜日や日付が入ると、表現全体が on になります。in Monday morning とは言いません。
もう1つ、見落としやすい規則があります。last、next、every、this がつくと、前置詞そのものを省きます。next Monday、last summer、every day、this morning のように、前に on や in を置く必要はありません。on next Monday のように、うっかり足してしまいがちなので気をつけておきたいところです。
| 前置詞 | 使うもの | 例文 |
|---|---|---|
| at | 時刻・night・noon・midnight | I wake up at 6:30. 6時半に起きる。 |
| The café closes at midnight. そのカフェは真夜中に閉まる。 | ||
| I read at night. 夜に本を読む。 | ||
| on | 曜日・日付・特定の日 | We have soccer on Saturday. 土曜日にサッカーがある。 |
| She was born on May 3rd. 彼女は5月3日生まれ。 | ||
| Let’s talk on Monday morning. 月曜の朝に話そう。 | ||
| in | 月・季節・年・時間帯(night 以外) | My birthday is in October. 誕生日は10月。 |
| We go camping in the summer. 夏にキャンプに行く。 | ||
| I run in the morning. 朝に走る。 | ||
| なし | this / next / last / every | See you next Friday. また来週の金曜日に。 |
in the morning と on Monday morning の違いは、morning ではなく Monday が決めている。
週末の言い方は、地域で好みが割れます。アメリカ英語では on the weekend、イギリス英語では at the weekend が好まれます。意味は同じなので、どちらか一方に揃えておけば問題ありません。より広い時間表現の一覧は、時間の英語にまとめてあります。
乗り物を表すときのin・on・at
乗り物の in と on は、車体の大きさよりも、乗り物の種類で分かれます。
車には in を使います。She was sitting in the car when it started raining. という形です。
バス・飛行機・電車・船といった公共の乗り物には on を使います。on the bus、on the plane、on the train、on the ship という形です。
Purdue OWL によれば、公共の乗り物についてはさらに細かく使い分ける話者もいます。停まっている間は in、動き出したら on というように、My wife stayed in/on the bus while I got out at the rest stop. のどちらの形も使われます。ただしこれは一部の話者の使い方なので、上の原則を覚えておけばたいていの場面では困りません。
on time と in time のような熟語
前置詞が場所や時間ではなく、状態を表す熟語の中で使われることもあります。
on time は「予定通りに」です。10時発の列車が10時に出れば、その列車は on time で出たことになります。
in time は「間に合って」です。最終電車に in time で着いた、と言えば、乗り遅れずに済むタイミングで駅に着いたということです。予定通りかどうかではなく、間に合ったかどうかを言っています。
ほかにも on fire(燃えている)、in trouble(困っている)のように、前置詞ごと丸ごと覚える熟語があります。こうした比喩的な使い方は、点・面・立体の理屈だけでは説明しきれません。残りは、その言い方に何度も触れて、形ごと覚えてしまうのが早道です。この部分の難しさは、研究でも確かめられています。
形が似ていて意味の変わるペアは、並べて見ると違いがはっきりします。
| ペア | 意味の違い |
|---|---|
| on Third Street / at 323 Third Street | 通り名だけなら on、番地まで言うなら at |
| in the street / on the street | in は歩道に挟まれた道路の区画(子どもが遊ぶ場所)、on は通り沿いの位置 |
| on the field / in the field | on は選手が使う面としてのグラウンド、in は柵に囲まれた区画 |
| on the window / in the window | on はガラスの表面(霜の模様)、in は窓枠の内側(顔がのぞく) |
| at school / in school | at は校舎や敷地にいる、in は在学中の身分(アメリカ英語) |
| arrive in Paris / arrive at the airport | 都市や国は in、駅・空港・建物は at |
| in the car / on the bus | 車は in、公共の乗り物は on |
| on time / in time | on time は予定通りに、in time は間に合って |
| on the weekend / at the weekend | 意味は同じ。アメリカ英語は on、イギリス英語は at |
| on the corner / at the corner of A and B / in the corner | on は「その角」、at は2本の通り名で指す交差点、in は部屋の内側の隅 |
最後の2行は理屈ではなく地域や習慣の差。ここは覚えるほうが早い。
なぜ日本語話者はin・on・atで迷うのか
日本語の「に」と「で」は、英語のように点・面・立体を区別する助詞ではありません。「駅に行く」も「机の上に置く」も「箱の中に入れる」も、同じ「に」で済ませられます。日本語の助詞は、存在する場所か、動作が起きる場所かという文法上の役割を区別していて、対象の形は区別していません。英語では、この「に」1つに対応する語を、対象の形に応じて3つに割り振り直すことになります。迷うのは論理力の問題ではなく、母語にない分類をゼロから覚え直しているからだと考えたほうが正確です。
この分類が人類共通の感覚というわけでもありません。発達心理学者の Bowerman と、言語学者の Choi による研究によれば、英語は「容器に入っているか(containment)」「面に支えられているか(support)」で in と on を分けます。韓国語の線の引き方は、これとは重なりません。きつくはまり込む関係を表す動詞 kkita は、耳栓を耳に入れる場合(英語なら in)でも、ペンにキャップをはめる場合(英語なら on)でも同じように使われ、容器か面かの境目をまたいでしまいます。ゆるい関係になると韓国語も区別はしていて、ゆるく中に入れるのは nehta、ゆるく上に置くのは nohta です。分けていないのではなく、英語とは違うところに線を引いているということです。
ただしこの解釈には異論もあります。Kawachi (2007) は、韓国語の動詞は「はまり具合」で空間を分類しているわけではないと論じていて、Bowerman と Choi の説明そのものが見直されています。母語によって空間の切り分け方が違うという大枠は広く受け入れられていますが、韓国語の動詞の意味をどう記述するかは、今も決着していません。
日本語話者を対象にした研究では、難しさがもっと具体的な形で出ています。早稲田大学の Zhang 氏と、名古屋大学の村尾玲美氏による2024年の研究は、日本人英語学習者の in・on・at の習得を調べました。わかったことの1つは、in trouble や on time のような抽象的な用法を正しく使うには、高い英語力が要るということです。もう1つは予想外の結果で、中心的な意味に近い使い方ほど正答率が下がる、という負の相関が出ました。この効果には、その言い方にどれだけ触れてきたかという馴染みの度合いが関わっていたことも報告されています。ルールを理解するだけでは足りず、決まった言い方に繰り返し触れることが要る、という話です。
繰り返し触れて思い出す練習については、想起練習のページで扱っています。前置詞は単語として単独で覚えるより、フレーズごと引き出す練習のほうが向いています。in・on・at クイズを何度か回して、間違えた場面だけ見直すのも、そのやり方に沿った使い方です。母語とコロケーションが食い違うときのつまずきは英語の感覚で、単語のニュアンスを1つずつ切り分ける方法は曖昧・ambiguousで扱っています。
子どもには、どう教えればいいですか
年齢によって、届く教え方が変わります。
小学3・4年生は「外国語活動」の段階です。2020年度から全面実施されている学習指導要領では、この2年間は「聞くこと」「話すこと」が中心で、目標は英語の音声や表現に「慣れ親しむ」ことに置かれています。教科ではないので、通知表に数値の評定もつきません。この時期に in・on・at の理屈を説明しても、まだ抽象度が高すぎます。on the table、in the box のように、絵や実物と結びついたフレーズごと耳に入れるほうが向いています。物を動かしながら英語で言う、という遊び方で十分です。
小学5・6年生からは、英語が正式な教科になり、数値の評定もつきます。目標の書き方も「できるようにする」に変わり、「読むこと」「書くこと」が加わります。このあたりから、点・面・立体という整理も少しずつ通じるようになります。ただし説明を先に立てるより、正しい形にたくさん触れたあとで「そういえば箱は in だったね」と後から整理するほうが、納得が早いはずです。
中学生になれば、この記事の図をそのまま見せて構いません。住所のズームは、抽象的な説明の中では具体物に近いほうなので、入口として使いやすいところです。
迷ったときの覚え方はありますか
迷ったら、対象を頭の中で描いてみるのが一番早い方法です。
1つの点に見えるなら at。何かの上に乗っているなら on。中に入っているなら in。この順番で当てはめると、たいていの場面は片づきます。住所のズームの図を思い出すのも手です。街は面積、通りは線、番地は点、と順番に狭くなっていきます。
それでも残るものがあります。at night、on time、in trouble のような、理屈では割り切れない形です。ここは考えて出すものではなく、思い出して出すものだと割り切ったほうが早く進みます。正しい形に何度も触れて、フレーズごと引き出せるようにしておきましょう。
参考文献
- Purdue OWL, “Prepositions of Location: At, In, On,” Purdue University Online Writing Lab. https://owl.purdue.edu/owl/general_writing/grammar/prepositions/prepositions_of_location_at_in_on.html
- Purdue OWL, “Prepositions,” Purdue University Online Writing Lab. https://owl.purdue.edu/owl/general_writing/grammar/prepositions/index.html
- Zhang, Z. J., & Murao, R. (2024). A Study on the Acquisition of English Prepositions by Japanese EFL Learners: Influence of Prototypicality, Semantic Relations, Familiarity, and L2 Proficiency. The Journal of Asia TEFL, 21(1), 90–118. https://doi.org/10.18823/asiatefl.2024.21.1.6.90
- Bowerman, M., & Choi, S. (2001). Shaping meanings for language: Universal and language-specific in the acquisition of spatial semantic categories. In M. Bowerman & S. C. Levinson (Eds.), Language Acquisition and Conceptual Development (pp. 475–511). Cambridge University Press.
- Kawachi, K. (2007). Korean putting verbs do not categorize space contrastively in terms of “tightness of fit.” Lingua, 117(10), 1801–1820.
- Yun, H., & Choi, S. (2018). Spatial semantics, cognition, and their interaction: A comparative study of spatial categorization in English and Korean. Cognitive Science.
- VOA Learning English, “‘On the Corner’ or ‘at the Corner’?”
- 政府広報オンライン「2020年度、こどもの学びが進化します!新しい学習指導要領、スタート!」、文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語活動・外国語編」