tell と say の違い
|英文法
英会話のレッスンで、”My teacher said me…” と言いかけて、先生に “told me” と直される。この経験、一度はあるかもしれません。日本語ではどちらも「言う」なので、どこで線を引けばいいのか分かりにくい。でも、線は1本だけです。
tell は「相手に伝える」動詞。文のどこかに相手(me、him、us など)がいないと成り立ちません。say は「言葉を口にする」動詞。人を目的語に取らないので、say me とは言えません。tell me は○、say me は×。ここさえ押さえれば、使い分けはほぼ決まります。

目次
tell と say は何が違う?
Cambridge の文法解説(English Grammar Today)によると、say が指すのは口にした言葉そのもの、tell が指すのは相手に渡る内容・メッセージです。
だから文の形も変わります。tell の後には「だれに」「何を」が並びます。I told her the truth.(彼女に本当のことを伝えた)。say の後は「何を」だけ。He said he was tired.(疲れたと言った)。
相手は人とは限りません。犬でも、会社でも、機会 でも、伝える相手なら tell の目的語になれます。I told the dog to stay.(犬に「待て」と言った)。I told Siri to set a timer.(Siri にタイマーを頼んだ)。代名詞で受けるなら it や they です。
同じ場面を並べると差がはっきりします。同僚から遅刻の連絡が来たとして、He said he’d be late. なら「遅れると言っていた」、発言の中身の報告です。He told me he’d be late. なら「私に遅れると連絡してきた」、私宛てに伝わってきた感じが乗ります。LINEにたとえるなら、tell は宛先を選んで送るメッセージ、say は画面に打った言葉そのもの。say me が変なのは、打った文章の中に宛先欄を書いているようなものだからです。
| 動詞 | 基本の型 | 見ているもの | 間違いの例 |
|---|---|---|---|
| tell | tell + 相手 + 内容 | 相手に渡る内容 | tell to me × |
| say | say + 内容 | 言葉そのもの | say me × |
どっちを使うか、一瞬で見分けるには?
基本は「動詞 + me」の形が作れるか、で見分けます。told me は○、said me は×。相手を直結できるのが tell、相手の前に必ず to が要るのが say です。
Cambridge は間違いの形をはっきり挙げています。he said me は不可。say は人を目的語に取らないので、相手も入れたいときは to を挟んで she said to me とします。逆に tell は、相手を先に置くとき to を挟みません。tell to me は間違いで、told me と直接つなぎます。to の位置がちょうど逆になるわけです。
ひとつ補足すると、tell の相手は「後」ですが、「すぐ後」とは限りません。内容を先に言って、相手を to で後ろに回す形もあります。He told the story to all his friends.(彼はその話を友人全員に聞かせた。Oxford Advanced Learner’s Dictionary の用例)。相手が長いときや、相手を目立たせたいときの語順です。つまり消せないのは相手そのものであって、位置ではありません。I told him the news. も I told the news to him. も○、相手のない I told the news. だけが×です。
もうひとつ、相手を省いた tell も間違いです。「彼女は外で待つと言った」を She told (that) she would wait. とは言えません。相手を出さないなら say に切り替えて、She said she would wait. とします。
直し方はいつも同じです。say me と言いかけたら told me へ、tell to me と言いかけたら told me へ。
say の使いかた
say は言葉そのものを口にする動詞です。だから、セリフをそのまま引用する直接話法は say の仕事になります。’Hello,’ she said. は正しく、’Hello,’ she told. は間違いです。Cambridge も、直接話法で tell は普通使わないと明記しています。
あいさつ・お礼・謝罪も say です。say hello(あいさつする)、say sorry(謝る)、say thank you(お礼を言う)、say yes / no(はい・いいえと答える)。どれも「口にする言葉」がそのまま目的語になっています。
相手を入れたいときは to を使います。She said to me, “You look tired.”(彼女は私に「疲れてるね」と言った)。ただし相手を主役にしたいなら、最初から told me を選ぶほうが自然な場面が多いです。
tell の使いかた
tell の役目は2つあります。相手に情報を渡すことと、相手に指示することです。
情報を渡す形が tell + 相手 + 内容。Can you tell me the way to the station?(駅までの道を教えてもらえますか)が典型で、日本語の「教える」に近い働きをします。that 節も続けられます。He told us that the meeting had been cancelled.(会議が中止になったと私たちに伝えた)。
指示・命令の報告は tell + 相手 + to do です。She told me to sit down.(座るように言われた)。Cambridge によると、くだけた話し言葉では He said to wait outside. のような say + to do も使われますが、その場合でも say の後に直接人を置けない点は変わりません。
ただし、決まり文句に限って、tell を相手なしで使えます。Cambridge が挙げるのは the truth、a lie、a joke、a story との組み合わせです。tell the truth(本当のことを言う)、tell a lie(嘘をつく)、tell a joke(冗談を言う)、tell a story(話を聞かせる)。ここで say a lie とは言えません。ほかに tell the time(時計を読む)、tell the difference(違いを見分ける)も相手なしで使う定型です。
この tell the difference の tell は、実は「見分けがつく・わかる」という別の意味です。こちらの tell は、相手どころか目的語なしでも使えます。”Which one is real?” “I can’t tell.”(どっちが本物?、見分けがつかない)。It’s hard to tell.(何とも言えない)。Time will tell.(時が経てばわかる)。Cambridge の辞書にも、I could tell from her expression that something serious had happened.(表情から、何かあったのだと分かった)のような用例が載っています。「tell の後には必ず相手」と丸暗記していると、この tell に出会ったとき崩れるので、決まり文句とセットで覚えてしまってください。似た表現をまとめて頭に入れるより、1語を錨にして違いを言葉にしてから次を足すほうが混ざりません。
speak と talk はどこに入る?
この2語は「言う」ではなく「話す」の側です。Cambridge の解説では、speak は talk よりフォーマルで、言語について言うときは speak を使います(speak Japanese ○、talk Japanese ×)。speak が見ているのは話し手ひとりの発話。talk になると聞き手が現れて、会話のやりとりを指します。
4語を並べるなら、言葉そのものは say、相手への伝達は tell、話すという行為は speak、会話のやりとりは talk。とはいえ「tell say 違い」で迷う場面のほとんどは最初の2語で決まるので、まずは say と tell の線を固めるのが先です。
受動態では?「〜と言われている」の言い方
tell の受動態は「相手」が主語になり、say の受動態は「〜と言われている」になります。ここでも2語の性格の違いがそのまま出ます。
まず tell。I was told that the meeting had been cancelled.(会議は中止になったと聞いています)。伝えられた側を主語に立てる形で、ビジネスメールの「〜と伺っております」に近い働きをします。
say の受動態は「〜と言われている」です。型は2つ。It is said that the temple is over 1,000 years old. と、The temple is said to be over 1,000 years old.(その寺は1000年以上前のものだと言われている)。文法学習サイトの Test-English は、これをニュースや硬い文章で、情報源を明かさないまま伝えるための言い方だと説明しています。「だれが言ったか」をぼかしたいときの英語です。
気をつけたいのは I was told to wait. で、これは「待つように言われた(指示された)」の意味です。Cambridge の Advanced Grammar in Use(Hewings)は、この to 不定詞の型で tell を使えるのは「命令する」の意味のときだけだと注意しています。「〜だと言われている」のつもりで was told to を使うと、意味がずれます。
会話・メールで使える例文
tell(相手に伝える・指示する):
- Please tell me if anything changes.(何か変わったら知らせてください)
- She told us the schedule for next week.(彼女は来週の予定を私たちに伝えた)
- The doctor told him to get some rest.(医者は彼に休むように言った)
say(言葉を口にする):
- He said he’d call back in ten minutes.(10分後にかけ直すと言っていました)
- Don’t forget to say thank you.(お礼を言うのを忘れずに)
- She said, “Let’s take a break.”(「休憩にしよう」と彼女は言った)
よくある質問
「これは英語でなんて言う?」は say と tell のどっち?
say です。How do you say “momiji” in English?(もみじは英語でなんと言いますか)のように、尋ねているのは言葉そのものだからです。tell を重ねることもできます。Can you tell me how to say this in English?(これを英語でどう言うか教えてもらえますか)なら、tell me(私に教えて)+ how to say(どう言うか)で、2語がそれぞれの仕事をしています。
「〜と言われている」と英語で言うには?
It is said that 〜 か、主語 + is said to 〜 を使います。It is said that the castle is haunted. / The castle is said to be haunted.(その城には幽霊が出ると言われている)。ニュースや紹介文でよく使われる、情報源をぼかした言い方です。日常会話でくだけて言うなら、They say (that) 〜 や People say 〜 でも同じ内容を伝えられます。
said me と tell to me は、どこが間違い?
to の位置が逆です。say は人の前に to が必要で、said to me が正しい形。tell は相手を先に置くとき to なしで直接つなぎ、told me が正しい形です。内容を先に言うときだけ、I told the news to him. のように相手を to で後ろに足します。「say は to 経由、tell は直行」とセットで覚えると、両方の間違いが一度に消えます。迷ったら、相手を入れたい文はまず told me に寄せておくのが安全です。
子どもに教えるときは、どう説明すればいいですか?
訳語を分けるのが入り口です。tell は「教える・知らせる」、say は「言う」。小学生なら、文法用語は使わずに「後に『だれに』が来る?」の1問だけで判定させます。tell me、tell him と口で繰り返して型ごと覚えるのが早いです。中学生になったら、say me が×であること、命令の tell 相手 to do、この2点を型として押さえます。丸暗記の訳語より、この「型」のほうが応用が利きます。
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参考文献
Cambridge Dictionary, English Grammar Today. “Say or tell?” dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/say-or-tell
Cambridge Dictionary, English Grammar Today. “Speak or talk?” dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/speak-or-talk
Cambridge Dictionary, English Grammar Today. “Reported speech.” dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/reported-speech_2
Cambridge Dictionary. “tell.” dictionary.cambridge.org/dictionary/english/tell
Oxford Advanced Learner’s Dictionary. “tell.” oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/tell
Hewings, M. Advanced Grammar in Use (4th ed.), Cambridge University Press. サンプル章(cambridgeenglish.org)
Test-English. “The passive with reporting verbs: It is said that …” test-english.com/grammar-points/b1-b2/passive-reporting-verbs